お世話になります。はいさび です。
「日経平均先物」は「日経平均株価」に影響をあたえる…といわれていますが、それはなぜでしょうか?
今回は「裁定取引」について学びます。
①(日経225先物と日経225(現物)のように)同じ金融商品をあつかうもの同士は基本的に連動する(先物主導)
②先物価格は決済期日になると現物価格と同じになるという原則がある
③裁定取引は、同じ価値を持つ商品に一時的な価格差が生じたときに、高い方を売って、安い方を買い、その後、両者の価格差が縮小したときにそれぞれの反対売買をおこなうことで利益を得る取引
④先物の決済期日の時点で「裁定買い残」が大量に残っていると、現物を売って先物を買い戻す「裁定解消」がおこなわれ、大量の売りが出て、相場を大きく崩す要因になる(裁定解消売り)
裁定取引とは?
裁定取引とは?

(日経225先物と日経225(現物)のように)同じ金融商品をあつかうもの同士は基本的に連動します。


日経225先物が上がれば、日経225(現物)も上がりやすい、
日経225先物が下がれば、日経225(現物)も下がりやすい…っていうことだね


決算期日には、先物の金利などのコストがなくなるので、先物と現物が同じ価格になります。
この原則のもと、先物と現物の差額による利益(利ザヤ)を得る取引手法を「裁定取引」といいます。

「裁定取引」とは、同じ価値を持つ商品に一時的な価格差が生じたときに、高い方を売って、安い方を買い、その後、両者の価格差が縮小した(割高・割安な状態が解消された)ときにそれぞれの反対売買をおこなうことで利益を得る取引のことです。
先物が割高であれば、先物を売って現物を買う「裁定買い」、
先物が割安であれば、現物を売って先物を買う「裁定売り」をします。

裁定取引は、先物の理論価格と現物の価格との差を利用して取引されます(「サヤ取り」ともいわれます)。
主に、資金力があり、情報収集力や取引環境等を持つ大口の機関投資家や裁定業者(証券会社)などがリスクを抑えながら利益を得るために利用する手法です。
(日経225構成銘柄をすべて同じタイミングで均一に購入しなければならないなど、多大な資金と取引環境などが必要なため、個人投資家には難しい取引方法です)。
先物の理論価格とは?


日経225先物の理論価格は、
日経平均株価 × ( 1+ (短期金利-配当利回り) × (満期までの日数÷365) ) で算出します。
(先物取引の決済は先の期日に(後で)おこなわれるため、決済までの金利を上乗せた価格になります。また、配当金は受けとれないので、配当金の分は差し引かれます)。

また、先物より現物が高くなることを「逆ザヤ」といいます。
この場合、裁定解消売りにつながり、現物が売られやすくなるので注意が必要です
(ただし、先物取引は短期金利を基準にしているので、マイナス金利のときには先物が現物より安くなることがあります)。

大口の機関投資家などは、この価格差(サヤ)を利用して取引しているんだね。
でも、どうして“裁定取引は理論上リスクがない”っていわれているのかなぁ?

また、決算期日前でも、日経225先物と日経225(現物)の価格が同じか近づいたときに裁定取引を解消して金利分を利確できます。

裁定買い残、裁定売り残とは?

通常、裁定取引では株価指数先物と現物株はセットで取引されますよね?

「先物売り 現物買い」と「先物買い 現物売り」の2種類あるよね
「先物売り 現物買い」のまだ解消されていない現物買いの残高を「裁定買い残(さいていかいざん)」といい、
「先物買い 現物売り」のまだ解消されていない現物売りの残高を「裁定売り残(さいていうりざん)」といいます。
(「裁定買い残」と「裁定売り残」を合わせて「裁定残(さいていざん)」といいます)。

つまり、裁定買い残が増える=将来の売り圧力が強くなっている…と判断できるんですよ
一般的に、裁定買い残と裁定売り残とでは、裁定買い残の方が極めて多く、相場にあたえる影響も大きいので、裁定買い残に注目します(相場の急落などの状況によっては裁定売り残も見ます)。



「裁定解消売り」は相場の下落要因のひとつなんですよ
機関投資家などから大量の「裁定解消売り」が出ると、大きな売り圧力となり、株価が大きく下落することがあります。

その場合、売られても株価を下げる圧力が弱いから、それほど株価に影響しないからいいことなのかなぁ?

でも、裁定買い残が減少=現物が売られている…ということは、この先は下落相場と予想されているということになりますよね?

裁定買い残・裁定売り残(裁定残)は、JPX(日本取引所グループ)のホームページなどで確認できます。
まとめ
- (日経225先物と日経225(現物)のように)同じ金融商品をあつかうもの同士は基本的に連動する
- 株式市場では「日経225先物」の動きに「日経225(現物)」が後から追随していくことがよくある(先物主導)
- 先物価格は決済期日になると現物価格と同じになるという原則がある(決済期日に裁定解消すれば金利分を必ずとることができる)
- この原則のもと、先物と現物の差額による利益(利ザヤ)を得る取引手法を「裁定取引(アービトラージ)」という(大口の機関投資家などがおこなう)
- 裁定取引は、同じ価値を持つ商品に一時的な価格差が生じたときに、高い方を売って、安い方を買い、その後、両者の価格差が縮小したときにそれぞれの反対売買をおこなうことで利益を得る取引
- 先物が割高であれば先物を売って現物を買う「裁定買い」、先物が割安であれば、現物を売って先物を買う「裁定売り」をし、両者の価格差がなくなったら反対売買をおこなって「裁定解消」する
- 通常は、先物の理論価格の方が現物よりも金利分 割高になる
- 「先物売り 現物買い」のまだ解消されていない現物買いの残高を「裁定買い残」、「先物買い 現物売り」の現物売りの残高を「裁定売り残」という(裁定残)
- 裁定買い残は、裁定取引が解消されるときに必ず売却される現物株(将来の売り圧力となる)
- 先物の決済期日の時点で「裁定買い残」が大量に残っていると、現物を売って先物を買い戻す「裁定解消」がおこなわれ、大量の売りが出て、相場を大きく崩す要因になる(裁定解消売り)

つぎの「株基礎㉔」では「SQ」について学びますよ^^
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