お世話になります。はいさび です。
株投資には、ふつうの「現物取引」の他にも「信用取引」があります。
自分を信用してもらって、証券会社にお金や株を借りておこなう取引なので、ある程度の投資経験や資産などが必要ですが、ほとんどの投資家が利用しているとのこと。
株価にも当然影響するので、株投資をするにあたって「信用取引」の知識は必須ですね!
今回から8回にわたって「信用取引」の勉強をしていきたいと思います。
今回は、信用取引の「特徴」と「コスト」について学びます。
①信用取引は、証券会社に担保(現金や株式)を預け、証券会社からお金を借りて株を買ったり、株を借りてその株を売ったりする取引(専用の信用取引口座が必要)
②信用取引は「買い」からだけでなく「売り」からも取引をスタートできる
③信用取引には約3.3倍までのレバレッジ効果がある、1日に何度でも回転売買できるといった特徴もある
④信用取引は売買委託手数料と消費税の他に、「信用買い」の場合は金利がかかり、「信用売り」の場合には貸株料や諸経費がかかる
信用取引の特徴
信用取引とは?

…「信用取引」って、よくわからないけれど、なんだか危険そうだよね?
「現物取引」とは、その時々の市場の時価で計算した売買代金を受け渡す通常の取引のことです(現物ともいわれます)。

信用取引をはじめるには、専用の「信用取引口座」を開設する必要があります。
(口座開設については「株基礎㉟」にて説明しますね)



リスクを知ることはとても大事なことですので、これから折に触れて説明していきますね


売りからもスタートできる


現物取引は下落相場では利益を出すことができませんが、信用取引の場合、信用売り(「空売り(からうり)」)をすることで下落相場でも利確のチャンスがあります。


(空売りについては「株基礎㉜」にて説明しますね)

レバレッジ効果

なんと、預けた担保の評価額の約3.3倍までの取引ができるんですよ

たとえば、委託保証金率が30%の場合、30万円の保証金で100万円の売買が可能です。

また、保有銘柄を担保にして資金を借りられるので、長期で保有している株を有効に活用できるというメリットもあります。

1日に何度でも回転売買できる


現物取引には「差金決済規制」があり、1日の内に同じ資金で同じ銘柄の取引は一往復(「買い→売り」または「売り→買い」)のみに制限されています。
(差金決済とは、現物の受渡しをおこなわずに「買い」と「売り」の反対売買をして出た差額で決済することです)。

クロス取引(つなぎ売り)

信用取引では、株主優待を取得することはできません(実際に株券の取引がおこなわれていないため)。
しかし、現物取引の買いと、信用取引の売りを同時に入れる「クロス取引(つなぎ売り)」をすることで株主優待の権利を取ることができます。

欲しい株主優待銘柄がある場合、
①権利付き最終日までに、その銘柄の「現物の買い」をおこないます
↓
②それと同時に「(同じ銘柄・同じ価格・同じ株数の)信用の売り」を入れます(株主優待の権利は、権利付き最終日に現物株を保有していれば取得できます)。
↓
③そして、(権利付き最終日の翌日)権利落ち日に「現物の買い」で「信用の売り建玉」を「現渡(げんわたし)」することで決済します(現物株を信用の売りの返済にあてます)。
(現渡については「株基礎㉛」にて説明しますね)


株価が動くことで出る損益は現物取引と信用取引で相殺されます。
たとえば、株価500円の銘柄(100株)をクロス取引していたが、権利落ち日に株価が450円になった(50円値下がった)場合、
「現物の買い」は、-50円×100株=-5,000円(損失)
「信用の売り」は、+50円×100株=+5,000円(利益)
…となります。-5,000円と+5,000円が相殺されるので±0(損益なし)になるのです。



中でも、とくに重要なのが(制度信用取引の場合)「信用売り」に逆日歩が発生する場合があるということです!
人気のある株主優待銘柄は、多くの投資家によってクロス取引されるため、株不足になる可能性が高まります。
株不足になると「逆日歩(ぎゃくひぶ)」という手数料を(株を借りる)売り方は支払わなくてはなりません。
逆日歩はわずか1日の取引でも生じ、高額になる可能性がある(株主優待の価値以上の出費になることもあります)ので要注意です。
(逆日歩については「株基礎㉝」にて説明しますね)

他にも、売り方は配当(落)調整金を支払う必要がある、「信用売り」ができる銘柄が限られている…などの注意点があります(証券会社によってルールが異なる場合があります)。


信用取引の手数料・コスト
信用取引の手数料は各証券会社によって異なりますが、売買委託手数料と消費税の他に、(お金を借りる)「信用買い」の場合は金利がかかり、(売却する株を借りる)「信用売り」の場合には貸株料や諸経費がかかります。
信用買い | 信用売り | ||
---|---|---|---|
売買委託手数料 | 支払う | 支払う | 証券会社によって異なる。 (一般的に取引金額が増えると段階的に増えていく) |
信用金利 | 支払う | ー | 証券会社から借りたお金に対して発生。 証券会社によって異なる。 |
貸株料 | ー | 支払う | 証券会社から株を借りるために支払う費用。 証券会社によって異なる。 |
逆日歩(品貸料) | 受けとれる場合がある ( 一般信用取引では対象外) | 支払う場合がある (制度信用取引の場合) | 売り方が買い方に対して支払う費用。 市場で制度信用取引によって貸借される株式が不足すると発生 |
事務管理費(管理費) | 支払う | 支払う | 新規建の約定日から1ヶ月経過のたびに建玉ごとに発生。 1ヶ月ごとに1株あたり10銭(税抜) |
名義書換料(権利処理等手数料) | 支払う | ー | 買い建玉が権利確定日をまたいで建てられている場合に発生。 売買単位あたり50円(税抜) |
配当(落)調整金 | 配当のある銘柄の場合、受けとれる | 配当のある銘柄の場合、支払う | 配当所得ではなく譲渡損益として計算されるため、配当控除の対象にはならない |

信用取引でも現物取引と同じく売買委託手数料が必要なんだね


「信用買い」の場合にかかる金利は、証券会社から借りたお金に対して発生します(証券会社によって異なりますが、信用取引は年利1.35%~3.10%くらい、一般信用取引は年利2.50%~4.10%くらいです)。
「信用売り」の場合にかかる貸株料は、証券会社から株を借りるために支払う費用(制度信用取引で売建てた場合)であり、日数に応じて発生します(証券会社によって異なりますが、年利1.15%くらいです)。

(逆日歩については「株基礎㉝」にて説明しますね)

また、諸経費(事務管理費や名義書換料)もかかります。
事務管理費(管理費)は、新規建の約定日から1ヶ月の間に反対売買で決済をしなかった場合、1ヶ月経過のたびに建玉ごとに発生します((いずれも税抜で)1株あたり10銭(1ヶ月の上限は1,000円、下限は100円)、 建玉の返済約定時に徴収されます)。
名義書換料(権利処理手数料)は、権利確定日をまたいで買建玉を保有した場合に発生します(売買単位あたり50円(税抜)、権利落ち日に差し引かれます )。

配当(落)調整金とは、配当金相当分として処理される金額のことです。

配当(落)調整金は、配当落ちによる株価の下落を調整するために、売り方から買い方に対して支払われます。
(税法上、配当所得ではなく譲渡所得の計算に含まれます(そのため、配当控除の対象とはなりません。また、配当(落)調整金は配当金の所得税分が源泉徴収された後の金額が対象となります))。
ちなみに、(同じ理由で)信用取引は、株主優待を取得することはできません。株主優待の権利を取りたい場合は…
- 現物株で購入する
- 権利付最終日までに「現引(げんびき)」する(お金を支払って現物株で引きとること。(取引に時間がかかるため)権利確定日を含めて3営業日前までに手続きが必要)
- 「クロス取引(つなぎ売り)」する
という方法があります。
(現引については「株基礎㉛」にて説明しますね)


事前に証券会社のホームページで確認しておかないと!
まとめ
- 信用取引は、証券会社に担保(現金や株式)を預け、証券会社からお金を借りて株を買ったり、株を借りてその株を売ったりする取引
- 信用取引をはじめるには、専用の「信用取引口座」を開設する必要がある
- 信用取引は「買い」からだけでなく「売り」からも取引をスタートできる
- 信用取引には「レバレッジ効果(てこの原理)」がある(預けた担保の評価額の約3.3倍までの取引ができる)
- 信用取引は、同じ銘柄を同じ保証金で1日に何度でも回転売買することができる(差金決済が可能)
- 「クロス取引(つなぎ売り)」によって株主優待をお得にゲットできる
- 信用取引は売買委託手数料と消費税の他に、「信用買い」の場合は金利がかかり、「信用売り」の場合には貸株料や諸経費がかかる

つぎの「株基礎㉙」では「保証金と追証」について学びますよ^^
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