お世話になります。はいさび です。
信用取引には「少ない資金で大きな利益を得られる(レバレッジ効果)」という魅力がある反面、「損失も大きくなる可能性がある」という危険性もはらんでいます。
リスクを知ることはとても大事なこと。リスク回避しながら上手に取引していきたいですよね?
今回は「空売り」について学びます。
①空売りは、“手元に持っていない(空(カラ)の)状態で、証券会社から株を借りて売ること(信用売り)。下落相場のときでも利益を狙える
②空売りができるのは「制度信用取引」の「貸借銘柄」と「一般信用取引」の一部の銘柄のみ
③空売りの損失は無限大(青天井)であり、リスクが大きいので十分に注意しなければならない
④当日の基準価格より10%以上下落した銘柄には「空売り規制」がかかる
空売りとは?
空売りとは?

たとえば、現物取引と違って「買い」からも「売り」からもスタートできるっていうこと。上昇相場でも下落相場でも利益を狙えるのがいいよね!
株の「現物取引」の場合、持っている資金の範囲内でしか株を購入することはできません。また、持っていない株を売ることもできません。
しかし、「信用取引」を利用すると、お金を借りて株を買ったり(「信用買い」)、持っていない株を借りてその株を売ったり(「信用売り(空売り)」)することができます。
(「信用買い」は「買建(かいだて)」ともいい、「信用売り」は「売建(うりだて)」や「空売り(からうり)」ともいいます)。

でも、「信用売り(空売り)」する際は十分に注意してくださいね!

…それに、そもそもなんで信用売りのことを「カラウリ」っていうの?

「空売り」は、“手元に持っていない(空(カラ)の)状態で、証券会社から株を借りて売ること”。
そのため、「カラウリ」というんですよ(英語では「ショート」といいます)

空売りは…
これから株価が下がるだろうと予想したら「空売り」をします(高いところで「売る」)。
↓
その後、予想通りに株価が下がったら安いところで「買い戻す」ことにより、その差額が利益になります。
このように、空売り(「売り」からスタート)をすることで、下落相場のときでも利益を狙えます。
(ただし、株価の下落時に空売りをする投資家が増え過ぎると相場の混乱を招く恐れがあるため「空売り規制」が設けられています(あとで説明しますね))。


空売りができるのは「制度信用取引」の「貸借銘柄」と「一般信用取引」の一部の銘柄のみなんですよ
(制度信用取引と一般信用取引については「株基礎㉚」を参照してくださいね)

空売りのリスクヘッジ

「リスクヘッジ」とは、起こりうるリスクを予想して、そのリスクが起きたときに対応できる体制を備えておくことです。
たとえば、(短期的な)下落相場が来るかも…と予想した場合、株価の値下がりをリスクヘッジするために、保有している株と同じ銘柄に「空売り」を入れます。
↓
その後、予想通り(短期的な)下落相場が来たものの、徐々にトレンドが変わり、(短期的な)下落相場が終了したところで「買い戻し」して利確(利益確定)します。


ですから、株価がいくら上昇しても損失が大きくなることはないんですよ
「現渡(げんわたし)」とは、保有している株式(同銘柄・同株数)を差し入れて決済することです。
(現渡については「株基礎㉛」を参照してくださいね)




「ロング・ショート戦略」とは、「ロング(現物買い・信用買い)」と「ショート(空売り)」を組み合わせておこないます。
株価が上昇しそう(割安)と予想した銘柄は「買い(=ロング)」に、下落しそう(割高)と予想した銘柄は「空売り(=ショート)」に比重を置きます。
買い建て銘柄と売り建て銘柄の両方のポジションを持つことで、どちらに株価が動いても(相場がどんな局面であっても)利益を得られるようにする戦略です。
空売りの損失は無限大

デメリットってなにかあるの?



でも、「空売り」は、株価が無限に上昇する可能性がある=損失の可能性も無限大(青天井)なのです
「買いは家まで、売りは命まで」という相場格言があります。
「空売り」をする際は、その仕組みやリスクについて十分に理解したうえでリスク管理をしっかりとし、取引しなければなりません。
(「空売り」の儲けは最大でも株価相当です。こういったことも考慮し、取引しましょう)。


でも、投資は自己責任ですので、慎重におこないましょうね!
空売り規制

下落相場で「空売り」をする人があまりにも多くなると、売りが売りを呼んでさらに下落が加速し、相場が混乱する可能性があります。

当日の基準価格より10%以上下落した銘柄の空売りをおこなう場合、「空売り規制」がかかります。
(当日基準値から10%以上値段が下落した銘柄をトリガー抵触銘柄といい、直近公表価格以下での空売りが規制されます。
(「トリガー値段」=「当日基準値段」×(1-10%)))。

空売り規制が適用された銘柄は、一度に51単元以上の空売りをすることが規制されています(売買単位が100株の銘柄の場合、5,100株以上)。

50単元以下の株数を短時間に連続して空売りし、合計51単元以上の空売りとなった場合、空売り規制を回避するための分割発注とみなされ、違反行為となるので注意しましょう。
また、複数の証券会社の口座を利用して注文した場合でも、分割発注に該当するとみなされる可能性があります。

なお、空売り規制価格より株価が上昇した場合、現在の価格で空売りできます(同価格以上の空売りが可能)。
しかし、株価が下落した場合は現在の価格では空売りできません(現在の株価より上の価格から空売りが可能)。
空売り規制は、規制が適用された日から翌営業日の取引終了時点までかかります(翌営業日も再び基準値段から10%以上下落した場合は翌々営業日終了時点までかかります)。


これを「踏み上げ相場(ふみあげそうば)」といいます
空売り規制が入った銘柄は株価が上昇する傾向にあります(踏み上げ相場)が、すべての銘柄がそのように動くわけではありません。
また、どういった理由で10%以上も株価が下がったのか?ということが重要です(悪材料の場合は、投げ売りされる(大量に売られる)可能性もあります)。



でも、空売り規制がかかっているかってどうやって調べるの?
空売り規制になった銘柄は、JPX(日本取引所グループ)や各証券会社のホームページなどで確認できます(日々、16時30分頃に公開されます)。
まとめ
- 空売りは、“手元に持っていない(空(カラ)の)状態で、証券会社から株を借りて売ること(信用売り)
- 空売り(「売り」からスタート)をすることで、下落相場のときでも利益を狙える
- 空売りができるのは「制度信用取引」の「貸借銘柄」と「一般信用取引」の一部の銘柄のみ
- 空売りはリスクヘッジとしても利用される
- 空売りの損失は無限大(青天井)であり、リスクが大きいので十分に注意しなければならない
- 下落相場のときに空売りが増えると、相場が混乱する可能性があるため(当日の基準価格より10%以上下落した銘柄には)「空売り規制」がかかる(規制が適用された日から翌営業日の取引終了時点までかかる)
- 空売り規制が適用された銘柄は、一度に51単元以上の空売りをすることが規制されている
- 空売り規制が入った銘柄は株価が上昇する傾向にある(踏み上げ相場)。しかし、なぜ規制がかかったのかが重要である

今回は、信用取引のリスクのひとつである「空売り」についてでした。
つぎの「株基礎㉝」では、もうひとつのリスク「逆日歩」について学びますよ^^
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