お世話になります。はいさび です。
信用取引にはいい面がある一方で、「追証」「二階建て」「空売り」といったリスクがあります。


今回は、もうひとつのリスク「逆日歩」について学びます。
①逆日歩(品貸料)は、売り方が買い方に対して支払う費用。証券金融会社(日証金)が株不足の場合にかかる
②逆日歩が発生するのか?逆日歩がいくらになるのか?ということは取引前にはわからない
③逆日歩の日数は、新たに信用売建(空売り)をした日の受渡日から、返済(買い戻し)したときの受渡日の前日までの日数
④「クロス取引(つなぎ売り)」を利用する際は逆日歩に注意すること
逆日歩とは?
逆日歩とは?


「逆日歩(品貸料ともいいます)」とは、売り方が買い方に対して支払う費用のことです。
逆日歩は、証券金融会社(日証金)が株不足の場合にかかります。



じつは、証券会社も手持ちの株に限度があるので「証券金融会社(日証金)」から株を借りてまかなっているんですよ
しかし、あまりにも株を借りられ過ぎると証券金融会社も株不足になってしまうことがあります。
その場合、証券金融会社は足りない株を調達するために、大量にその株を保有している銀行などの機関投資家などから株を借りてまかないます。
そうすると、証券金融会社は、株を借りた機関投資家などに対して、株を借りるための手数料=「品貸料」を支払わなければなりません。



逆日歩は取引前にわからない

それから、逆日歩っていくらかかるの?

どれくらいの信用売りが出ており、どれくらい株が足りないのか?は、毎営業日の取引終了後に売買を差し引くことによって決まります(翌取引日の午前10時過ぎくらいに公表されます)。
逆日歩が発生しそうか?ということは「信用倍率(しんようばいりつ)」の推移を見ることで、ある程度予測することができるため、売建する場合は事前に確認するようにしましょうね。
(「信用倍率」については「株基礎㉞」で説明しますね)

逆日歩の値段

逆日歩の値段は取引翌営業日におこなわれる入札によって決まり、どれくらい株が不足しているのかによって変動します。
株式の需給の状況が大きく「売り」に傾いている場合(大量の株が不足するため)、高額の逆日歩がつく場合があるので、売建する場合は注意が必要です。
たとえば、1,000株を信用売り(空売り)していた場合で0.5円の「逆日歩 」が発生したら、 0.5円×1,000株×1日=500円の逆日歩を支払う必要があります。

しかも、株を借りているあいだは毎日それが積み重なるんでしょ?
同額の逆日歩が2日(2営業日)つづいたら、0.5円×1,000株×2日=1,000円を支払うことになります。

逆日歩の日数
逆日歩は、
「1株あたりの逆日歩(円)×信用売り株数(株)×建玉の保有日数(日)」 で算出します。

さらに、1株あたりの逆日歩の金額は毎日変わる可能性がありますし、株不足が解消しないと最高料率が上昇することもあるんですよ

「受渡日(うけわたしび)」っていつになるの?
「受渡日」とは、売買を決済する日のことで「約定日」から3営業日後になります。

土日祝日をはさむ場合は、逆日歩が余計にかかります(3営業日のあいだに土日をはさむと、3営業日後とは実質5日後になります)
(逆日歩が決定するのは約定日の翌日なので)約定日には逆日歩の金額がわからないため、逆日歩は約定日で計算しません。
逆日歩の日数は、新たに信用売建(空売り)をした日の受渡日から、返済(買い戻し)したときの受渡日の前日までの日数となります。


まず、土日祝日をはさまない場合ですが…
たとえば、7日(月曜日)に新規で売建をして、翌日8日(火曜日)に返済(買い戻し)したとすると、

返済(買い戻し)の受渡日は11日(金曜日)になるね

つまり、逆日歩は 1円×1,000株×1日=1,000円になります

じゃあ、土日祝日をはさむとどうなるの?
たとえば、8日(火曜日)に新規で売建をして、翌日9日(水曜日)に返済(買い戻し)したとすると、

返済(買い戻し)の受渡日は…土日祝日は受渡はおこなわれないから、14日(月曜日)になるんだね!

つまり、逆日歩は 1円×1,000円×3日=3,000円になります

でも、こんな手数料なんて払いたくないよ!



こういった状態を「踏み上げ相場」といいます


クロス取引(つなぎ売り)では逆日歩に注意!

(クロス取引については「株基礎㉘」を参照してくださいね)
逆日歩は状況次第で高額となる場合があります(とくに人気のある株主優待は逆日歩に注意!優待の価値よりも逆日歩の負担の方が大きくなる可能性もあります)。


ただし、権利日が近づくと証券会社から「空売り規制」が入る可能性があります。
なぜなら、一般信用取引は証券会社が独自に株を調達して貸し出しているため、 優待前になると深刻な株不足に陥ってしまうことがあるからです。
どうしてもクロス取引したい場合は、早めにクロスしておかなければならない場合もあります。

まとめ
- 逆日歩(品貸料)は、売り方が買い方に対して支払う費用。証券金融会社(日証金)が株不足の場合にかかる
- 逆日歩が発生するのか?逆日歩がいくらになるのか?ということは取引前にはわからない(翌取引日の午前10時過ぎくらいに公表される)
- 逆日歩が発生しそうか?ということは「信用倍率」の推移を見ることで、ある程度予測することができる
- 大きく「売り」に傾いている場合(大量の株が不足するため)、高額の逆日歩がつく場合があるので、売建する場合は注意すること
- 1株あたりの逆日歩の金額は毎日変わる可能性があり、株不足が解消しないと最高料率が上昇することもある
- 逆日歩の日数は受渡日で計算される(受渡日は、売買を決済する日のことで約定日から3営業日後)
- 逆日歩の日数は、新たに信用売建(空売り)をした日の受渡日から、返済(買い戻し)したときの受渡日の前日までの日数
- 投資家の多くは逆日歩が発生しそうになると、その銘柄を買い戻すことによって手放す傾向にある(踏み上げ相場になる可能性がある)
- 株主優待をお得に手に入れることができる「クロス取引(つなぎ売り)」を利用する際は逆日歩に注意すること

つぎの「株基礎㉞」では、売買タイミングを予測するために役立つ「信用残高」について学びますよ^^
よろしければ↓こちらへどうぞ
