お世話になります。はいさび です。
企業のIR(Investor Relations(インベスター・リレーションズ)。企業が株主や投資家に向け、経営や財務の状況、また、業績の実績や今後の見通しなどをお知らせ(広報)すること)でよく「増資」という言葉を耳にします。
今回は、「増資」についてと、逆に「減資」とはなにか?ということについて学びます。
①増資は企業が資本金を増加させること。
②増資により1株あたりの価値が希薄化する(株価が下落することがある)。しかし、将来性のある増資の場合は株価が上がることもある。
③減資は企業が資本金を減少させること(株主総会での決議が必要)。
④減資には、累積赤字の補てんや節税、配当金を増やせるというメリットがあるが、会社の信頼度が低下するというデメリットもある
増資とは?

増資とは、企業が資本金を増加させることです。

増資の種類は主なものとして3種類あるんですよ
①「株主割当増資(かぶぬしわりあてぞうし)」
既存の株主に対して新株発行をおこなう(そのときの株価よりも数%安く発行される)。
②「第三者割当増資(だいさんしゃわりあてぞうし)」
提携先や取引先などの特定の第三者に対して新株発行をおこなう(業務提携など関係強化したい場合)
③「公募増資(こうぼぞうし)」
不特定多数の一般の投資家に対して市場を通じて新株発行をおこなう(そのときの株価よりも数%安く発行される)。

ということは、1株あたりの価値が薄まるから、株主にとってはよくないよね?

そのため、1株あたりの価値が下がる(希薄化する)ので株価が下落することがあります。
が、将来性のある増資の場合は株価が上がることもあるんですよ!
増資により発行済み株式数が増加すると、1株あたり当期純利益(EPS)が減少します。
EPS=当期純利益÷発行済株式数 で算出され、企業の収益力(1株に対する利益がどれだけあるのか?)をあらわします。
短期的には増資により1株あたりの価値が低下するためマイナス面が目立ちますが、長期的に見ると増資によって財務基盤の強化や企業収益の拡大などプラス効果を得られる場合もあります。

「会社の業績がよくないから資金不足を回避しよう」っていう増資はネガティブ材料だけど、成長性が見込める事業拡大のための増資ならば期待できるもんね

倒産リスクを懸念して株価が大幅に下落していた銘柄が、増資すると発表した後に(財務基盤が強化された、倒産リスクが減少する…と捉えられ)株価が上昇することもあります。
また、増資資金を借入金返済につかう場合も、財務基盤が強化された、借入金利息の減少で利益が増加する…と捉えられることもあります。


減資とは?

減資とは、企業が資本金の額を減少させることです。

減資をおこなうと会社の資産規模が縮小し、会社の事業基礎に変更を生じさせるなどの影響があるからです(きわめて重要な事項)


「減資」には、「無償減資」と「有償減資」の2つの方法があります。
①「無償減資(むしょうげんし)」
実際にお金は動かず、帳簿上のみで形式的に資本金を減らすこと。
②「有償減資(ゆうしょうげんし)」
出資してもらった金銭を返却すること(配当。実際にお金が社外に出ていく)。

減資はどういった場合におこなわれるの?

「無償減資」は…
企業の経営がうまくいかず赤字がつづくと、その累積額は「欠損」というかたちで会社の貸借対照表にたまっていきます(欠損があると新たな出資を集めにくくなります)。
企業は欠損を余剰金や法定準備金によって埋めようとしますが、それでも足りないときには資本金を切り崩して穴埋めしようとします。これが減資です。


そのため、資金調達が有利になるように、減資によって欠損をリセットすることがおこなわれます。
これは、実際に社外にお金が出ていくわけではなく、貸借対照表上の数字が入れ替わるだけなので「無償減資」といわれます。

貸借対照表の見た目上、赤字ではなくなったということです

また、税金対策(節税)を目的とした減資もあります(資本金が1億円以下の場合、さまざまな軽減策が設けられており、そういった優遇策を受けるための減資(これも無償減資です))。


ずっと赤字で株主に(利益から)配当を出せず、このままでは事業の継続が厳しいというときに、減資をし、余剰金として株主に配当金を出すという方法です。

そのため、有償減資をおこない、減資した分を余剰金として計上変更することで配当金を出せるようになる…ということなんです
(一定限度額を超えると「みなし配当」となる場合があり、多額の税金を払わなければならないことがあります)。


…そして、「減資」をおこなった後は、通常「増資」がおこなわれます
減資をおこなうと資本金が少なくなるため、会社の経営が不安定になります。
そのため、新たに株を買ってくれる人を募って(新株発行。第三者割当増資の場合が多い)、資金を調達し、改めてその資金で経営再建を目指していこうとします。

まとめ
- 増資は企業が資本金を増加させること。
- 増資には、株主割当増資、第三者割当増資、公募増資などがある。
- 増資により1株あたりの価値が下がる(希薄化する)ので株価が下落することがある。
- しかし、将来性のある増資の場合は株価が上がることもある。
- 減資は企業が資本金の額を減少させること(減資をする際には、株主総会での決議が必要)。
- 減資には、無償減資と有償減資の2つの方法がある。
- 減資には、累積赤字の補てんや節税、配当金を増やせるというメリットがあるが、会社の信頼度が低下するというデメリットもある

ここまでお疲れさまでした♪