お世話になります。はいさび です。
株の材料で「株式分割」と「株式併合」という言葉をしばしば耳にします。
「株式分割=好材料」、「株式併合=悪材料」というイメージがあるようですが、どのようなものなのでしょうか?
今回は、この2つについて学びます。
①株式分割は、1株を何株かに分けて(すでに発行されている株式を細分化して)、発行済株式数を増やすこと。
②(株式分割によって)1株あたりの単価が低くなると取引しやすくなり、新たな投資家が増えたり、株数が増加することで株式の流通性を高めることができる。
③株式併合は、すでに発行されている株式数(発行済株式数)を減らすために、複数の株式を1株に統合すること。
④株式併合は、業績が低迷している企業が見かけ上の株価水準を高めるためにおこなうことが多い。
⑤株式分割も株式併合も、株数と株価が変わるだけで企業の価値は変わらない。
株式分割とは?

…株式分割(かぶしきぶんかつ)ってどういうことなの?

増加した分の株式は、既存の株主(基準日に株主名簿に記載されている株主)に持ち株数に比例して配分されます(たとえば、株式を3分割する場合、既存の株主には自動的に1株あたり新株2株を配分します(株数が3倍になる))。
(株式分割をしても)会社の自己資本全体は変わらないので、理論上では分割比率に応じて株価は下がります。




…でも、どうして、分割する必要があるの?

株式分割は主に、1株あたりの単価を低くして株式を購入しやすくするためにおこなわれるんです

それに、株数が増加することで(一部を売ったりするなど自由度が増すから)株式の流通性を高めることができて、さらなる株価上昇を目指せるんだね!

また、配当金を変えずに分割すると、株主にとっては実質的な増配になるんですよ!

株式分割って、株主にとってデメリットはとくにナイから、株価上昇が期待できそうだね!

株式分割と同時に決算や業績見通しの修正が発表されることも多いため、しっかり見極めましょう!
この他にも、指定替え(マザーズ→東証1部へといった市場変更)を目指すために株式分割をおこなう場合もあります(東証1部に指定されるための条件(時価総額、株主数、流通株式数、売買高など)を満たすため)。
なお、株式分割は取締役会の決議でおこなうことができます。
しかし、大幅な株式分割がおこなわれると、その直後に一時的な株券不足などにより株式の需給バランスが崩れて株価が乱高下する場合があるため、東証では1対5を超える分割を自粛するよう求めています。

また、信用取引している株式が分割する場合は、信用の買い方・売り方の両者に不公平が生じないよう、証券会社が調整・処理してくれます。
株式併合とは?

(※東証や全国の取引所の方針を受け(2018年10月までに)売買単位を100株に統一するための株式併合が大々的におこなわれました(投資家の利便性を高めて、国際競争力を向上させようという取り組みに対応したもの)。ここではそういった理由以外のことについて説明します)

…複数の株式を1株に統合するっていうこと?
「株式併合」とは、すでに発行されている株式数(発行済株式数)を減らすために、複数の株式を1株に統合することです。

基本的には理論上の株価は上昇します(併合比率によって1株当たりの価格が修正されます)

株価は上昇しますが、投資家が保有している株式数が減少するため、その企業の株を保有している投資家の保有資産は変わりません。
また、企業価値をあらわす「時価総額」は「株価×発行済株数」で算出されるため、企業の価値も変わりません。


長期間にわたり業績が低迷している企業は、株価が下落して「低位株(株価200円以下)」となっていることがありますよね?

そのため、企業は株価を引き上げるための手段として株式併合をおこないます(たとえば、1株100円の銘柄5株を1株に併合することで株価500円にするなど)。



他にも、業績不振の企業が、経営再建のために欠損金を埋める目的で、減資とともに株主併合をおこなうこともあります(その場合、減資とほぼ同時期に第三者割当増資も実施します。すると、1株あたりの利益が低下し、既存の株主にとってはマイナスとなる場合が多くあります)。

株式併合をする場合、(最低取引単元の100株に満たない)端株主や単元未満株の株主を増やす場合があり、株主の権利を侵す(株主総会への参加、配当金や株主優待を受け取ることができなくなるなど)可能性があるため、株主総会の特別決議が必要となっています。
(株式併合によって発生した端株や単元未満株は、企業に買取請求して換金するか、単元株になるまで株を買い増し請求することができます(端株は企業によって一括処理され、端数割合に応じて配分されることになります))。
また、上場廃止後に企業の再建を進めたい場合、企業を再建する為に株主の権利を主張する少数株主を追い出すことを目的として株式併合をおこなう場合があります(スクイーズアウトといいます)。


でも、やっぱり株式併合ってネガティブなイメージを持つ投資家が多いよね?




株式併合をすると株数が減り、株価が高くなるのでこれまでよりも買いにくくなります(投資する人が減り、流動性が低くなる)。
株を買う人が少なくなることで買い支えがなくなり、株価が下がりやすくなります。
しかし、例外として、1株あたりの希少性が増すので、値動きが激しくなり、上昇相場に入ると、大きく株価が上昇することもあります。
まとめ
- 株式分割は、1株を何株かに分けて(すでに発行されている株式を細分化して)、発行済株式数を増やすこと。
- (株式分割をしても)会社の自己資本全体は変わらないので、理論上では分割比率に応じて株価は下がる。
- 株を分割すると、1株当たりの株主資産は減少するが、既存株主は株数が増えるので持ち分に変化はない。
- (株式分割によって)1株あたりの単価が低くなるため取引しやすくなり、新たな投資家が増える可能性がある。また、株数が増加することで(一部を売ったりするなど自由度が増すため)株式の流通性を高めることができる。
- 株式分割は、企業にとっては新たな資金調達なしに新株の発行ができ、市場流動性を高められるといったメリットがある。また、配当金を変えずに分割すると、株主にとっては実質的な増配になるというメリットがある。
- 株式併合は、すでに発行されている株式数(発行済株式数)を減らすために、複数の株式を1株に統合すること。
- 株式併合をする場合、端株主や単元未満株の株主を増やす場合がある。
- 株式併合により株数が減っても、会社の価値は変わらず理論上資産価値には影響はない。また、基本的には理論上の株価は上昇する。
- しかし、株式併合は、業績が低迷している企業が見かけ上の株価水準を高めるためにおこなうことが多いため、株価がそこから下落していくことがあるので注意。

株投資をしていると、時折出てくる材料ですよ。
ここまでお疲れさまでした♪