お世話になります。はいさび です。
4年に1度、約1年かけて行われる“アメリカ大統領選挙”は、アメリカでもっとも大きなイベントのひとつといわれています。
大統領選挙は、米国だけでなく世界中の政治・経済、そして株式市場にも大きな影響を与えるため、投資家としてはしっかり押さえておきたいところですよね!?
この大統領選挙の仕組みは複雑で、大きく2段階(予備選挙と本選挙)にわかれています。
前回は、『アメリカ大統領選挙』の第1段階である『予備選挙』について学びました。

今回は、第2段階の『本選挙』について学びます。
本選挙とは?

『本選挙』の説明に入る前に、カンタンに『予備選挙(または党員集会)』についておさらいしましょう♪

『予備選挙(または党員集会)』は、民主・共和両党がそれぞれ各州で行い、それぞれが大統領候補者となる党の代表(党公認の統一候補者)を1名ずつ決めるんだよ。
投票では、各州の有権者は直接候補者に投票するのではなく、自分が選びたい候補者を支持している代議員に投票するんだ。
なかでも、“スーパーチューズデー”といわれる2~3月初旬の火曜日は、予備選挙(または党員集会)がもっとも集中する大事な日。
…そして、予備選挙(または党員集会)で選ばれた代議員が夏の全国党大会で投票して、正式に各党の代表が決まるんだよ

そう。こうして選ばれた各党の代表同士が、次なる『本選挙』で一対一で争います。
本選挙の期間中、代表同士の討論会も何度か開かれるんですよ

それじゃあ、“本選挙”について教えて!

本選挙は、大統領選挙の投票日(一般投票。11月の第1月曜日の翌日の火曜日)に有権者が各州の“選挙人(大統領選挙人)”を選出した後、その選挙人の投票によって大統領を選出する…という2段階選挙になっています
アメリカ大統領選挙の“本選挙”は2段階選挙になっています。
まず、一般の有権者による“一般投票”(有権者は“選挙人”に投票する)があり、後日、その選ばれた“選挙人”による選挙人投票があります。
選挙人投票の結果、選挙人の過半数(270人)以上を獲得した候補者が勝者となり、次期大統領となる…という流れになります。

なるほど。有権者は、予備選挙(または党員集会)では代議員に投票したけれど、本選挙では選挙人に投票するんだぁ…どちらも間接選挙なんだね
大統領選挙の投票日(本選挙の一般投票)は、11月の第1月曜日の翌日の火曜日。
この日、全米で一斉に一般の有権者による投開票が行われます。
選挙のスタイルは予備選挙(または党員集会)と同じように間接選挙であり、 有権者は直接候補者に投票するのではなく、自分が選びたい候補者を支持している“選挙人” に投票します。

“選挙人”は、予備選挙(または党員集会)のときの“代議員”と同じように、どちらの候補を支持しているかを表明しているので、有権者はどちらかの党に投票し、間接的に大統領を選んでいることになるんです
次に、本選挙の選挙人投票が行われます。
一般投票で選ばれた選挙人が12月の選挙人集会で、民主・共和のいずれかの党の候補者に投票します(選挙人はあらかじめ特定の大統領候補者への投票を約束しているため、選挙人投票は形式だけの意味合いが強い)。
そして、翌年1月に開票が行われ、選挙人の過半数(270人)以上を獲得した候補者が当選。
同1月に正式に新大統領が就任…という流れになっています。
(また、 いずれの候補者も過半数に達しなかった場合、指名上位の候補者の中から連邦議会議員の投票によって大統領が選出されます)。

当落を決定するのは得票率ではなく、獲得した選挙人の数っていうのがポイントだね!
ところで、もう少し“選挙人”について教えてほしいんだけど…
選挙人(大統領選挙人)とは?
“選挙人(大統領選挙人)”とは、(本選挙の選挙人投票において)大統領候補者に投票する権限のある人のことです。

州内の公職者、州内の党活動家、大統領候補と何らかのつながりがある者などが選挙人となるのが一般的です
選挙人は全米で538人おり、州ごと(全米50州と首都ワシントン)に人口に応じた数の選挙人が割り当てられています。

この選挙人を獲得するルールとしておもしろいのが、大半の州で採用されている“勝者総取り(勝者独占)方式(ウィナー・テイク・オール)”というもの。
これは、(その州で1票差であったとしても)もっとも多くの票を獲得した候補者が、その州に割り当てられた選挙人をすべて獲得できる…というものなんです
たとえば、カリフォルニア州の選挙人は55人なので、ここで勝利した候補者は、得票数にかかわらず55人の選挙人を獲得できる、ということです。
米国は歴史的に州の権力が強く、州としての支持者を明確にするためにこの方式が採られているといわれています。

えーっ!総取り!?
じゃあ、割り当てられた選挙人の数が多い州で勝つことがキモだね!
そうすれば、選挙人の数が少ない州で負けつづけても、最終的に選挙人獲得数で上回って逆転できるかもしれないもんね!?
選挙人の人数は、各州の上院と下院の議席数の合計と決まっています(上院は各州2議席で固定されており、下院は人口に基づいて10年ごとに見直されます。また首都ワシントンには3人の選挙人が割り当てられています)。

ちなみに、2020年の選挙で選挙人の数が多い州は、カリフォルニア州の55人、テキサス州の38人、フロリダ州の29人など。少ない州だとワイオミング州の3人など…となっています

なるほどね。
それから、たとえば、“この州はこの党の支持者が多い”…っていうように、地盤みたいなものってあるのかな?
伝統的に、北東部やカリフォルニア州などの西海岸は民主党の地盤となっており、 これらの州は党のイメージカラーから“ブルー・ステーツ”と呼ばれています。
一方、中西部や南部は共和党の地盤で、“レッド・ステーツ”と呼ばれています。

また、民主・共和の支持率が拮抗しており、選挙のたびに勝利する政党が変わる州は、“スイング・ステート(揺れる州)”と呼ばれています。
フロリダ、オハイオ、ペンシルベニアなどが有名で(10州ほどあります)、激戦州とされているんですよ
各党とも地盤のある州の選挙人のみでは過半数(270人)に達しないため、 スイング・ステートの得票によって勝敗が決するとされています。
とくに選挙人の割り当ての多いスイング・ステートでの勝利が重要だとされており、毎回、激戦が繰り広げられます。

2016年の選挙では、一般の総得票数は民主党のヒラリー氏のほうが多かったにも関わらず、共和党のトランプ氏がスイング・ステートなどで勝利を重ねた結果、選挙人獲得数で上回り、最終的に勝利しました

本選挙は、まさに選挙人の争奪戦だなぁ。
…こうして、長い選挙戦を経て、アメリカ全土で選挙人の過半数(270人)以上を獲得した候補者が次期大統領の座につくんだね
まとめ

それじゃあ、本選挙について、まとめてみるね
・予備選挙(または党員集会)により選出された大統領候補者である両党の代表(民主・共和 各1名ずつ)が、7月~11月の本選挙で一対一で争う。
・本選挙は2段階選挙。まず一般の有権者による一般投票が行われ、後日、選挙人による選挙人投票が行われる。
・一般投票の投票日は11月の第1月曜日の翌日の火曜日。有権者は選挙人に投票する。
・12月に選ばれた選挙人による選挙人投票があり、その結果、選挙人の過半数(270人)以上獲得した候補者が当選する(当落を決定するのは得票率ではなく、獲得した選挙人の数)。
・選挙人は全米に538人おり、州ごとに人口に応じた数の選挙人が割り当てられている。
・選挙人を獲得するのに大半の州で勝者総取り方式が採用されている(その州での勝者は得票数にかかわらずその州のすべての選挙人を獲得できるというもの)。
・各党の支持率が拮抗しているスイング・ステート(揺れる州)での勝敗が当落を左右することが多い。

アメリカ大統領になるまでの道のりは長いんだね!
でも、カンタンにでも選挙の仕組みを理解していると、選挙戦の見方が変わって、ますます興味深いものになるよね!

世界の大国・アメリカの大統領選挙は、長い期間をかけて行われるビッグイベント。
株価にも影響するので投資家としてはぜひチェックしておきたいものですよね!?
カンタンにですが、前回から2回にわたって、この複雑な仕組みについて学んできました。
長文をここまで読んでくださって、ありがとうございます。
お疲れさまでした♪
