お世話になります。はいさび です。
投資に欠かせない重要な「株価チャート」は、「ローソク足」「出来高」「移動平均線」から成り立っています。
カンタンにいうと…
「ローソク足」は、株価の動きを示したもの
「出来高」は、ある期間中に株が売買された取引量のこと
「移動平均線」は、直近の株価の平均値を割り出してグラフにしたもの
今回は、チャートの中に示されている「出来高」、そして出来高とともに覚えておきたい「売買代金」について学びます。
★今回のポイント★ ①出来高とは、ある期間中にその株が売買された取引量(株数)のこと(売買高ともいわれる) ②取引が活発化すると出来高の棒グラフは大きくなり、取引が少ないときは棒グラフは小さくなる ③売買代金とは、売買が成立した金額の合計 ④出来高だけでなく売買代金もあわせてみることで、投資家の期待度が上向きなのか、下向きなのかを予想することができる
出来高とは?

「出来高」って、チャートの下の方にある棒グラフのことだよね?

そうです。
「出来高(できだか)」とは、ある期間中にその株が売買された取引量(株数)のことで、「売買高(ばいばいだか)」ともいわれます。
(“ある期間”とは、日足ならその日、週足ならその週など)。
たとえば、ある銘柄をある値段で買いたい人(100株)と売りたい人(100株)がいた場合、売買が成立すると、出来高は「100株」となります。

買いたい人と売りたい人の希望する値段が折り合ったら売買成立だね!
…でも、買い100株と売り100株だから「出来高」は200株になるんじゃないの?

この場合の200株は「取引高(とりひきだか)」といって、FXや商品先物取引などで使われることが多いんです。
株式取引では通常「出来高」を使うんですよ!
出来高は投資家の注目度の高さをあらわしています。
投資家に注目され、取引が活発化すると出来高の棒グラフは大きくなり、逆に、注目されず取引が少ないときは棒グラフは小さくなります。

「出来高は株価に先行する」といわれており、一般的には出来高が増えるとその後、株価が上がる傾向があるんです。
たとえば、株価が長期間ずっと横ばいになっている場合、「そろそろ上がるかな?」と考える人が増えはじめ、出来高が少しずつ増えていき、その後、株価が上昇する…といったことがあります。

じゃあ、出来高が多くて活況の銘柄に投資すればいいっていうこと!?

出来高だけで売買の判断をすることはできないんですよ。
なぜなら、出来高が安値圏と高値圏のどこで増加しているかによって、売買の判断が異なってくるからです。
ですから、株価の動きとあわせて見る必要があります。
出来高が増えはじめ、さらに株価が上がり出したら“買いのチャンス”かもしれませんね。

えっ?安値圏と高値圏で出来高の意味合いが違ってくるの?
たとえば…
普段はあまり注目されず株価がほとんど動かない銘柄の出来高が、安値圏で(買いたい人が集まって)急増した場合、
何らかの好材料が出て急に注目された可能性があるため、その後、株価が上昇する可能性があります(ただし、一時的な上昇の場合もあるので注意が必要です)。
逆に、普段から人気のある銘柄(東証1部の大型株などで買いたい人が多く、株価がすでに上がっている銘柄など)の出来高が高値圏で急増した場合、
買いたい人だけでなく、(利益確定のために)売りたい人も増えてきていることを意味しており、株価がピークをつけ、その後、下落する可能性があるとみることができます。

なるほどね!
具体的にどういうときに出来高が増えるの?
株価に影響しそうな好材料(好業績、新商品や新サービスの開発、大型の企業買収や業務提携、増配、自社株買いなど)が出た場合は、買いたい人が増えるだけでなく(利益確定のために)売りたい人が増えるため、出来高が増えます。
逆に、悪材料(業績不振、会社の不正など)が出た場合は、買いたい人が減るだけでなく、(損失を出してもいいので手放したいと思う)売りたい人が増え、(買いたい人がいなくなる状態になるため)売買が成立しにくくなり、出来高が減少します。

出来高ってその銘柄の人気度や勢いをあらわしているんだね。

そう。出来高は、今後の相場の動きを予測するのに役立つ重要な指標のひとつなんですよ。
上昇相場で出来高が減ってきたら「そろそろ下落がくるかも」という警戒サイン、
下落相場で出来高が増えてきたら「下落トレンドがそろそろ終わるかも」というサインになります。
また、株価が暴落している(株価が急激に大幅に下がっている)ときに出来高が急増することがあります。
なぜなら、暴落時はほとんどの投資家が「もっと下がるかも…損失が大きくなってしまう!」と悲観的になり、パニック状態で皆が焦って一斉に売ることで(売りがまた売りを呼び)大暴落が起こるからです。

こういった状況を「セリング・クライマックス」といいます
しかし、皆が売ったら(売りが一巡したら)これ以上売りたい人はいなくなり、株価はもう下がらない(いちばんの底値)状態になるため、今度は株価反転に切り替わります。
大暴落した分、急反発(急騰)する可能性が高いので、絶好の“買いタイミング”になることがよくあります。

まさに「出来高は株価に先行する」だね!
売買代金とは?

また、(チャートには表示されていませんが)出来高とは別に「売買代金(ばいばいだいきん)」というものがあるんですよ。
売買代金とは、売買が成立した金額の合計のことで、株式市場に入ったお金の量を示しており、東証全体の取引が盛んにおこなわれているかどうかの判断基準になります。
売買代金は、株価×出来高(売買高)で算出されます。

出来高は売買の数量(株数)だけど、売買代金は売買された金額なんだね。
ところで、東証の1日の取引ってだいたいどれくらいの金額になるの?

季節によって大きく変わるので一概に言えないのですが、東証の1日の売買代金の基準は約2兆円だといわれています。
毎年、8月はお盆などで取引が少なく、3月は決算期などで取引が多い傾向があるんですよ!

売買代金は出来高に比例して増えたり減ったりするってことだよね?

そうとも限りません。
なぜかというと、株価が高い銘柄の出来高が増えたら売買代金も増えますが、株価が低い銘柄の出来高が増えたとしても、売買代金はそれほど増えないからです。

そうかぁ!ということは、売買代金が増えないのに出来高が多いときは、株価の低い銘柄の売買が多いっていうことになるね。
基本的には、投資家に注目されていて人気がある銘柄は売買代金が大きく、人気が低いと売買代金が小さくなります(東証1部の銘柄の売買代金が大きい傾向にあります)。

売買代金が小さい銘柄は流動性が低く、取引相手が少ないため、売買がスムーズにできないことがあるので注意してくださいね。
…それから、売買代金と出来高には深い関係があるんですよ!

どういうこと?
出来高が急増して、株価も大きく上昇した場合、売買代金は大きくなります。
しかし、出来高が急増して、株価が大きく下落する場合もあります(この場合、売買代金はそれほど大きくなりません)。

ですから、出来高だけでなく、売買代金もあわせて見ることで、投資家の期待度が上向きなのか、下向きなのかを予想することができるんですよ。

たしかにそうだね!
売買代金にも何か投資判断の参考になるサインみたいなものはあるの?
安値圏で売買代金が増えたら「そろそろ相場が反転して上昇するかも…」というサイン、
高値圏で売買代金が減少したら「もう天井(株価がいちばん高い)かな。下落するかも…」というサインです。

もちろん必ずしもその通りに動くわけではありませんが、多くの投資家が出来高や売買代金をみて、そのサインを読みながら投資しているので参考にしてみてくださいね。
まとめ
- 出来高とは、ある期間中にその株が売買された取引量(株数)のこと(売買高ともいわれる)
- 投資家に注目され、取引が活発化すると出来高の棒グラフは大きくなり、逆に、注目されず取引が少ないときは棒グラフは小さくなる
- 出来高が増加しているのが安値圏か高値圏かによって売買の判断が異なってくるため、株価の動きとあわせてみる必要がある
- 出来高は、今後の相場の動きを予測するのに役立つ重要な指標のひとつ(上昇相場で出来高が減ってきたら下落への転換(警戒の)サイン、下落相場で出来高が増えてきたら上昇への転換サイン)
- 売買代金とは売買が成立した金額の合計であり、東証全体の取引が盛んにおこなわれているかどうかの判断基準になる(東証の1日の売買代金の基準は約2兆円)
- 出来高だけでなく売買代金もあわせてみることで、投資家の期待度が上向きなのか、下向きなのかを予想することができる(安値圏で売買代金が増えたら上昇への転換サイン、高値圏で売買代金が減少したら下落への転換サイン)

出来高も売買代金も他の指標と同様に“あくまで目安”ですので、総合的に判断し、投資に役立てていきたいですね。
長丁場、お疲れさまでした♪
次の「株基礎(11)」では「価格帯別出来高」について学びますよ^^
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