お世話になります。はいさび です。
株初心者のわたしは「株価が高い企業=いい企業」だと思っていましたが、そう単純なものではないようです。
では、会社の価値はどのように見ればいいのでしょうか…(._.)?
今回はそのキーワードである「時価総額」について学びます。
★今回のポイント★
①時価総額は、その企業の規模(企業の価値)を示している(企業の価値をある地点で評価した場合、どのくらいの金額になっているのか)
②時価総額は、一般的に企業の利益や資産が多いほど大きくなる
③時価総額と流動性が高い上位100銘柄は大型株、101位~400位は中型株、それ以外は小型株
時価総額とは?

いざ株式投資をしようと思っても、どうやって投資する企業を選んだらいいのかわからないよぉ…( ノД`)やっぱり大きい企業がいいのかなぁ?

企業の規模を知るには「時価総額」をみるといいですよ。
「時価総額(じかそうがく)」とは、その企業の規模(企業の価値)を示しているもので、企業の価値をある地点で評価した場合、どのくらいの金額になっているのかをあらわしています。
(株式市場での)時価とは、ある時点での価格(株価)のこと。
「時価総額=時価(株価)×発行済み株式数」で算出されます。
時価総額は、上場株式数のうち大株主などの安定株主の保有株数を除いた「浮動株数」をもとに算出されます。
(「浮動株(ふどうかぶ)」とは、安定した株主(創業者一族やその企業の役員などの大株主)に保有されておらず、市場に流通する可能性の高い株式(一般の投資家が市場で日々売買する株式)のことです)。

えっ!?時価総額をみるの?
“株価が高い”企業が大きくて優良な企業なんじゃないの!?

以前は“株価が高い”というだけで“企業の価値が高い”とされていました。
しかし、企業の価値を単純に株価だけで判断するのは難しいんです。
それを説明するためには「発行済み株式数(はっこうずみかぶしきすう)」について知っておく必要があります。
発行済み株式数とは?
「発行済み株式数」とは、(定款で定められた授権株式のうち)企業が実際に(すでに)発行した株式の総数のことです。
(授権株式(じゅけんかぶしき)とは、会社が発行を予定している株式総数の枠を定款(ていかん。会社を設立するときに必ず作成する規則のこと)で定めておき、一部は会社を設立するときに発行し、のこりは会社設立後に必要に応じて取締役会の決議によって分割発行できる制度のことです)。

株式(株)は、企業が発行する証書(株券)のことだね。
どれだけの数の株を発行するかは(会社が定款で決めている範囲内で)各企業が決めます。
発行する株数を増やすことにより(企業の価値が細かく分かれることになり)1株あたりの値段は安くなります。逆に、発行する株数が少ないと、1株あたりの値段は高くなります。

同じような株価の企業同士を比べようとしても、発行済み株式数がまったく違うのならば、1株あたりの値段がまったく違うため、単純に比較することはできませんよね?
そのため、株価を比べる場合、1株あたりの株価に発行済み株式数を掛けて、その企業の値段(企業の規模・価値)である時価総額をみて比較しなければならない…ということなのです。
(その企業の値段(時価総額)は、発行されている株式をすべて買う(その企業をまるまる買収する)のに必要な値段です)。

そうか。じゃあ、株価が低くても発行済み株式数が多ければ、それだけ“企業価値が高い”と評価できるっていうことだね。

それから、時価総額をみることでその企業の成長性や市場の期待値などについてもわかるようになりました。
(成長性や市場の期待値などによって大きく変わってきますが)時価総額は、一般的に企業の利益や資産が多いほど大きくなる傾向にあります。
企業の市場での価値が正確にわかれば比較しやすくなり、比較の信頼度も高まります(外国の企業と比較して評価することもできます)。

時価総額は企業の勢力を把握するのに役立つんだね。

たしかに役立ちますが、絶対的なものではないんです。
なぜかというと、時価総額は株価と連動していますよね?
株価はときに過大評価(または過小評価)される場合があるからです。
流動性とは?

ところで、時価総額が大きい場合、企業の規模・価値が大きいっていうことはわかったけど、それにより具体的にどんないいことがあるの?
時価総額が大きいと企業買収されにくくなり、倒産するリスクが少なくなり、信用にもつながります。

そういった安心感により、その企業に投資しようとする投資家が増え、流動性(りゅうどうせい)が高まります。

流動性??

(株式市場でいう)流動性とは、株をいかに容易に売り買いできるかの度合いのことをいいます。
「流動性が高い」とは、株式市場に出回る株の数が多く(売りたい人も買いたい人も多い)、カンタンに売り買いが成立することです(いつでも売買が可能で、適正な価格で取引でき、一度に売買できる数量の多い少ないということが問題とならない状態)。
逆に、「流動性が低い」とは、株式市場に出回る株の数が少なく(売りたい人も買いたい人も少ない)、希望どおりに売買しにくい状態です(市場参加者が少ないので、「いつ(時期)、いくつ(株数)売り買いしたい」と思っても売買が成立しにくく、適正価格で取引しにくくなる状態)。

自分が「買いたい」と思っても、「売りたい」という人がいなかったら、価格はどんどん上がってしまうし…
逆に、自分が「売りたい」と思っても、「買いたい」という人がいなかったら、価格はどんどん下がってしまう…ということだね(゚д゚lll)
また、ある企業の時価総額をさかのぼって見たとき、時価総額が徐々に大きくなってきている場合、“株価が上がっている”もしくは“発行済み株式数が増えている”企業であるとみることができ、将来性、成長性にも期待がもてます。

ただし、企業によっては、短期間に(一時的に)株価が急上昇し、一時的に時価総額が大きくなっている場合があるので注意してくださいね。
また、浮動株(市場に流通する可能性の高い株式)が多い銘柄は流動性が高くなります。
逆に、浮動株が少ない銘柄は流動性が低く、売買高が増加すると値動きが大きくなる可能性があります。
大型株、中型株、小型株とは?

それから、発行済み株式数が多くて時価総額が大きい場合、“値動きが鈍い”という特徴もあります。

発行済み株式数が多いか少ないかによって、株価の動きが変わってくるの?

たとえば、大型株の場合、市場に出回っている株数が多いため、株価が大きく動くには多くの売買高(株が売買(取引)される量)が必要になるんです。
ですから、株価が上がるときも下がるときも、動きがゆるやかになるという特徴があります。
逆に、小型株の場合、市場に出回っている株数が少ないため、少ない売買高でも株価が大きく動きやすい(値動きが荒くなりやすい)特徴があります。

大型株とか小型株ってどういうこと?
東証では、東証1部上場銘柄の中から、時価総額と流動性が高い上位100銘柄を大型株(おおがたかぶ)と定義しています(東証1部の時価総額の約60%をカバーしているといわれています)。
また、大型株についで時価総額と流動性が高い上位400銘柄(101位~400位)を中型株(ちゅうがたかぶ)、それ以外(401位~)を小型株(こがたかぶ)と分類しています。
規模別分類 | 特徴 |
---|---|
大型株 | 時価総額と流動性が高い 売買金額が大きい機関投資家が売買の主体となりやすい 大きな有名企業が多い(国際的にも信頼度の高い企業が多い) 値動きが安定している(しかし、大きな悪材料が出た場合、大きく売られることもある) 日経平均株価と似たような動きをする(日経平均株価の影響を受けやすい面もある) 多くの投資家にすでに買われているため、株価が大きく上がりにくい 高い配当を継続して出す企業が多い(しかし、配当が減少したりなくなった場合、投資するメリットがほとんどなくなる) PER(株価収益率)は低めに推移しやすい(割安感がある) |
中型株 | 業界3番手以下の企業が多い 大型株が物色されたあとに資金が向かってきやすいが、大型株と小型株の中間に位置するため、いまいち特徴がつかみにくい |
小型株 | 時価総額と流動性が低い 株価が大きく動きやすいため、少額資金で値幅をとることができる 機関投資家の参加が少なく、個人投資家が売買の主体となる(しかし、大型株の動きが鈍いときなどは機関投資家が参加することがあり、値動きが荒くなることもある) |

時価総額や流動性は日々変動しているので、東証では、毎年10月に構成銘柄の見直し(入れ替え)をおこなっているんですよ。

時価総額が高い銘柄にはどういった銘柄があるの?
2021年4月16日現在、1位がトヨタで約27兆8千億円(株価8,530円)、2位がソフトバンクグループで約21兆円(株価10,080円)、3位がソニーグループで約15兆円(株価は12,080円)です。

“Yahoo!ファイナンス(「株式」→「株式ランキング」のページ)”でチェックできますよ。
ちなみに、米国株では1位がアップルで約2兆2千5百億ドル、2位がマイクロソフトで約1兆9千5百億ドル、3位がアマゾン・ドット・コムで約1兆7千億ドルとなっています。
まとめ
- 時価総額とは、その企業の規模(企業の価値)を示しているもの(企業の価値をある地点で評価した場合、どのくらいの金額になっているのかをあらわしている)
- 時価総額=時価(株価)×発行済み株式数で算出される
- 時価総額は、一般的に企業の利益や資産が多いほど大きくなる
- 時価総額が大きいと企業買収されにくくなり、倒産するリスクが少なくなり、信用にもつながるため、流動性が高まる(株式市場に出回る株の数が多くなり、カンタンに売り買いが成立する)
- 発行済み株式数が多くて時価総額が大きい場合、値動きが鈍いという特徴がある
- 東証では、東証1部上場銘柄の中から、時価総額と流動性が高い上位100銘柄を大型株、101位~400位を中型株、それ以外の401位~を小型株と定義している
(時価総額には、「東証1部の時価総額」という、東証1部上場企業の時価総額を合計したものもあります(東証1部の市場規模を示しています)。また、一部の銘柄は、発行済み株式数と上場株式数が異なることがあり、「株価×上場株式数」を時価総額とする場合もあります)。

投資する際は株価だけでなく、時価総額についてもチェックしましょうね。
今日もお疲れさまでした♪
次の「株基礎(5)」では「PER」「EPS」について学びますよ^^
よろしければ↓こちらへどうぞ
