お世話になります。はいさび です。
株価が割安か割高かを判断するための指標として「PER」と「PBR」というものがあります。


単純に株価が「安ければ買い、高ければ買わない」とはいいきれず、業績や将来性などあらゆる角度から検討しなければなりません。
今回は、企業がいかに効率よく利益を上げているかをみるための指標「ROE」について学びます。
★今回のポイント★ ①ROE(自己資本利益率)とは、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標 ②ROEは高いほどよく、10%以上が良(15%以上だと優良)とされている(業種によって異なる) ③ROA(総資産利益率)とは、企業が総資産をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標 ④ROAは高いほどよく、5%以上が良(10%以上だと優良)とされている(平均は2%~5%。業種によって異なる)
ROE(自己資本利益率)とは?
ROE(自己資本利益率)とは?

ROE(あーるおーいー)とは、自己資本利益率(じこしほんりえきりつ)のことで、
Return On Equityの頭文字です。
「ROE(自己資本利益率)」とは、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標です(経営の効率性(収益性)をみるもの)。
ROEが高いほど収益性や成長性、株主への利益還元も期待できます。
ROE=当期純利益÷自己資本
または、
ROE=EPS(一株あたり純利益)÷BPS(一株あたり純資産)で算出します。

ROEが高い企業は、自己資本を効率よく使って利益を上げている(少ない自己資本で多くの利益を生み出している)とみることができるんですよ。
逆に、ROEが低い企業は、自己資本をうまく経営に活かせていない(経営効率が悪い)ということがわかります(これではその企業に出資しようとする投資家が集まらず、お金が集まらなくなってしまいます)。
たとえば、
当期(1年間の)純利益が30億円、自己資本が300億円のA社
当期(1年間の)純利益が40億円、自己資本が800億円のB社 の場合、
A社は、30億÷300億=ROE10%
B社は、40億÷800億=ROE5% となります。

この例の場合、当期純利益だけをみるとB社の方が稼げているけれど、ROEをみると、A社の方が自己資本を効率よく使って利益を上げている…とわかるんだね!

ROEをみることで、株主が投下した資本に対して、企業がどれだけの利益を上げられたのか?という“企業の稼ぐ力”がわかるんですよ。
経営効率を考えるときは、利益(金額)よりも「利益率」を重視します。

自己資本って、株主の出資金と、それを使って企業が事業活動をして儲けた分を上乗せした返済の必要のないお金のことだよね!
自己資本は“株主の持ち分”ともいえるね。

そう。ROEは株主の持分に対する投資収益率をあらわしています。
株主の権利である「配当」のもとになるため、配当能力をみる指標としても使われるんですよ。
また、ROEは諸外国(とくに米国)でもっとも重視されている指標のひとつです。
なぜかというと、諸外国では「会社は株主のもの」という意識が強く、企業が株主の資本をうまく活用し、いかに効率的に利益を上げているのか?ということをとても重視するからです(日本企業のROEは全体的に米国に比べて低い値です)。
そのため、外国人投資家が好む高ROE銘柄は値上がり期待度が高いといわれています。

日本市場の外国人投資家の割合は60%以上といわれているんですよ。

外国人投資家ってそんなにいるの!?高ROE銘柄は人気になるはずだね。
…ところで、ROEってどれくらいなら高いといえるの?
ROEは、一般的に10%以上が良(15%以上だと優良)とされています。
(ROEは業種によって異なります。なぜなら、大規模な設備投資が必要な製造業などは借入金が多くなるためROEが低くなりがちですが、設備投資がほとんどいらないネット関連企業などはROEが高くなる傾向があります。ですから、同業他社との比較に使うと便利です)。

ROEが低くなるのは経営効率が悪いからっていうことだけど、他に何か原因はあるの?

たとえば、着々と利益を上げていたとしても、新たな投資先が見つかっていない場合、企業内にお金が溜まっていきますよね?(内部留保(ないぶりゅうほ)といいます)。
これは自己資本が大きくなるということなので、ROEは低くなります。
また、景気が悪いときには企業の利益も少なくなるため、ROEも低くなります。

そうかぁ…やっぱりROEは高くないとね。

ただし、ROEにも問題点があるので注意が必要ですよ。
じつは、負債が多い企業のROEは高くなりやすいんです。
なぜかというと…
経営が苦しいと借入金だけでは間に合わないため、株主から預かった資金を使わざるを得なくなります。
そこで、新株予約権付社債(しんかぶよやくけんつきしゃさい:一定の条件で発行体の企業の株式に転換できる権利がついた社債)を発行して負債を増やし、自社株買い(じしゃかぶがい:企業が発行した株式を買い戻すこと)や増配(ぞうはい:配当を増やすこと)をおこなうことで自己資本を減少させ、ROEを改善できてしまうからです。
また、ROEが高くても、それ以上に投資家からの期待が大きく、株価が極端に上がって割高になっていることがあります。

このように、極端に割高になっている場合、株価が暴落することがあるので注意が必要ですよ。

ROEもあくまで目安なんだね。
いろいろな指標などと合わせて投資判断しないとね!
ROA(総資産利益率)とは?

「ROE」とよく似ている「ROA」という指標もあるんですよ。
ROA(あーるおーえー)とは、総資産利益率(そうしさんりえきりつ)のことで、
Return On Assetの頭文字です。
「ROA(総資産利益率)」とは、企業が総資産(すべての資産)をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標です(経営の効率性をみるもの)。
ROA=当期純利益÷総資産で算出します。

ROAが高いほど優良(5%以上が良(10%以上だと優良))とされています。
(平均は2%~5%ですが、業種によっても異なります。同業他社との比較に使うと便利です)。

ところで、“総資産(すべての資産)”ってどういうこと?

総資産(企業が持っているすべての資産)とは、現金だけでなく、工場や店舗、車、商品、また借入金(借りたお金(負債)はその企業のものではありませんが総資産に含まれます)…といったものすべてのことです。

「ROA」=純利益÷総資産
「ROE」=純利益÷自己資本(総資産-負債)
…ってことだね!
「ROA」は、返済しなくてはならない負債を自己資本に加えて、総資産からどれくらいの利益を出せているかをみる指標であり、
「ROE」は、借金なしにどれくらい利益を出しているのかをみる指標です。

ROEとROAを合わせてみることで、効率よく収益を出している企業をいろいろな角度から判断できるようになりますよ。
(どちらの指標も過去の推移と比較するとより信頼度は高まります)。
「ROA」を算出する際は負債(借金)が含まれているため、「ROE」では確認できなかった部分も見抜くことができるようになります。
(「ROE」が高くて「ROA」が低い場合、負債が占める割合が大きい(利息などの負担が大きい)と考えられます)。
「ROE」と「PER」「PBR」の関係

「ROE」は、株価が割安かどうかを見る「PER」や「PBR」とも関係があるんですよ。

えっ…どういうこと!?

「ROE(株主資本利益率)」 ×「 PER(株価収益率) 」= 「PBR(株価純資産倍率)」…となるんです。
ですから、「PBR」が低く割安な企業を見つけたとしても、じつは「ROE」や「PER」も低い可能性があります。
「PBR」が低い=割安で買い…と判断されがちですが、「ROE」をみると企業の収益性が低くなっているということがあるので注意しましょう。
まとめ
- ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標(経営の効率性(収益性)をみるもの)
- ROE=当期純利益÷自己資本、または、ROE=EPS(一株あたり純利益)÷BPS(一株あたり純資産)で算出する
- ROEが高い企業は自己資本を効率よく使って利益を上げていると判断できる(ROEは高いほどよい)
- ROEが高く、優良な企業は外国人投資家が好んで買うことが多く、値上がり期待度が高い
- ROEは、一般的に10%以上が良(15%以上だと優良)とされている(業種によって異なる)
- 負債が多い企業のROEは高くなりやすいという問題点もある
- ROA(総資産利益率)とは、企業が総資産をどれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標(経営の効率性をみるもの)
- ROA=当期純利益÷総資産で算出する(ROAが高いほど優良)
- ROAは、5%以上が良(10%以上だと優良)とされている(平均は2%~5%。業種によって異なる)
- ROE(株主資本利益率) × PER(株価収益率) = PBR(株価純資産倍率)となるため、PBRが低く割安な企業を見つけたとしても、じつはROEやPERも低い可能性があるので注意すること

投資する際にさまざまな指標をみながら銘柄の分析をすると、いろいろなことが見えてくるんですね。
本日もお疲れさまでした♪
次の「株基礎(8)」では、「チャート」や「ローソク足」について学びますよ^^
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